red-img

雨漏りが多いって本当?オシャレで人気の片流れ屋根の特徴と注意点

最近、街でよく見かけるようになった屋根形状が片流れ屋根です。

近年では、住宅に機能面だけでなく見た目を重視する人も増えてきています。
シンプルでスタイリッシュな見た目の片流れ屋根は、そのような方々の支持を集めているのです。

ただ、見た目だけで大切なマイホームを選ぶのは少し危険ですよね。
機能面まで考慮して建物形状を選ばなければ、後で様々な不具合を引き起こしかねません。

そこでここでは、片流れ屋根の特徴や注意すべきことなどを紹介していきたいと思います。

目次

片流れ屋根とは?

片流れ屋根とは、一方向にのみ傾斜がつけられているシンプルな形状の屋根を指します。
一枚の大きな板が、斜めについている感じの屋根のことですね。
屋根の形状には様々な種類がありますが、今最も人気の形状といってもいいでしょう。

敷地の狭い住宅でも、片流れ屋根なら居住空間を確保しやすくなります。
一般的な三角形の屋根に比べ、デッドスペースを有効活用できるのです。
また、住宅密集地帯にありがちな、縦長な敷地に建つ家にも片流れ屋根ならマッチします。

現代は都会に人口が集まりがちで、周囲にある団地などに住宅も集中しています。
そのような現状もあるからこそ、片流れ屋根が一気に普及しているのです。

片流れ屋根は雨漏りが多いって本当?

基本的に雨漏りは、屋根の形状が複雑になるほどリスクも高まります。
屋根形状が複雑になれば継ぎ目が増えるので、そこから雨が浸入しやすくなるのです。

片流れ屋根を見てみると、全く複雑な形状とは言えません。
むしろ数ある屋根の形状の中でも、最もシンプルと言っても過言ではいないでしょう。
なぜシンプルな形状の片流れ屋根で、雨漏りのリスクが高いと言われているのでしょうか。

その答えは、雨水の流れが関係しています。
屋根の頂上付近に落ちた雨水が、屋根の構造上外壁に向かって流れてしまうのです。

このとき屋根の裏側を伝って、外壁と屋根との隙間から建物内に雨水が浸入する危険があります。
屋根と外壁の接合部の処理が甘いと、塗装などが劣化していなくても雨漏りに発展してしまうのです
これが、片流れ屋根で発生する雨漏りにおいて、最も多いパターンとなります。

また、片流れ屋根は一方向にしか軒が下りておらず、他の3つの面は紫外線や風雨の影響を大きく受ける状態です。
そのため、屋根と外壁の接合が、他の屋根形状に比べて劣化しやすいのです。
接合部が劣化すると、当然雨漏りに発展する危険性は増してしまいます。

瑕疵保険会社の調査によると、新築で発生した雨漏りトラブルの実に75%が片流れ屋根で発生しているというデータもあります。
残念ながら、片流れ屋根が雨漏りに弱い形状ということは紛れもない事実なのです。

片流れ屋根のメリット

建築コストが安価

片流れ屋根は構造がシンプルなため、建築コストを安く抑えることができます。
屋根に接合面がなく、屋根板金などは必要ありません。
また、雨どいも一方向に取り付けるだけでOKとなります。

もちろん、新築時だけでなく、リフォームにかかるコストも割安となります。
家に住み続ける上で必要になるランニングコストが安く収まるので、非常に経済的な屋根形状と言えるでしょう。

見た目がオシャレ

片流れ屋根が増加している最大の要因となっているのが、見た目のオシャレさにあります。
たった1枚の屋根面から構成されるシンプルな片流れ屋根は、非常にモダンな見た目で人気を集めているのです。

特に最近では、建物本体もモダンな雰囲気のものが増えてきています。
このような建物に、片流れ屋根は非常にマッチするのです。
片流れ屋根特有の見た目は、他の屋根形状では再現することができません。

ソーラーパネルを最大限活用できる

太陽光発電システムをマイホームに取り付ければ、月々の電気代を節約することができます。
場合によっては、電気を売っておこづかいを稼げるケースもあるでしょう。

片流れ屋根は、屋根全面が一方向に向くため、ソーラーパネルを最大限搭載することができます。
特に南向きの片流れ屋根なら、最大の発電効率で太陽光発電を運用できるのです。
太陽光パネルの設置を前提としているのなら、屋根の勾配を調節することでさらに効率を高めることもできます。

太陽光パネルを設置するのなら、片流れ屋根が最も適した形状と言えるでしょう。

屋根裏スペースを有効活用できる

片流れ屋根の家は、その形状から屋根裏スペースを有効活用しやすいといえます。
屋根裏とは言え、外壁に直接窓を設置できる構造となっているので、普通の部屋としても活用できる空間を確保することも可能です。

その他、天井を屋根面に合わせるように設定すれば、天井の高い開放的な空間も作り出すことができます。
アイデア次第で室内空間もオシャレにアレンジできる点も、片流れ屋根の人気の秘訣といえるでしょう。

片流れ屋根のデメリット

写真:片流れ屋根

片流れ屋根は、雨漏りに弱いという大きなデメリットがあります。
もちろん必ず雨漏りが発生するわけではありませんが、これは大きな弱点と言えるでしょう。

そして、雨漏り以外にも、片流れ屋根にはいくつかのデメリットがあります。
片流れ屋根の、雨漏り以外のデメリットは以下の通りなので、きちんと把握した上で採用を検討するようにしてください。

屋根や外壁が劣化しやすい

屋根が降りていない3つの外壁面は、非常に小さな軒しか付いていません。
中には、まったく軒のない片流れ屋根の物件も存在しています。
軒がないということは、紫外線や風雨の影響を外壁が直接受けるということです。
当然、紫外線などの影響が大きい分、劣化も早く進行してしまいます。

また、屋根が一方向にしか下りていないことから、一般的な三角形の屋根に比べると2倍以上の雨水が屋根を流れ落ちることになります。

水が流れる量が増えればそれだけ劣化も進行するので、外壁だけでなく屋根も劣化しやすい構造と言えるのです。

雨どいの負担が大きい

片流れ屋根は、雨どいが一方向にしか取り付けられません。
と言うことは、屋根に降り注ぐ雨水が、全て一つの雨どいに集中してしまうということです。
そのため、どうしても雨どいへの負担は、普通の屋根に比べて大きくなります。

負担が大きくなれば、それだけ破損や不具合が生じる可能性は高くなります。
雨どいの不具合は、屋根や建物本体へのダメージにつながるおそれもあるので注意しなくてはなりません。
負担は避けることができないため、不具合を起こさないよう、破損などがないか定期的にチェックするようにしてください。

換気性能が弱い

一般的な三角形の屋根の場合、2つの屋根面の両方に換気口を設置し風通りをよくしています。
しかし、片流れ屋根は三角形の屋根の片方がないという構造をしているため、一方向にしか換気口を付けることができません。
そのためどうしても風通しが悪くなり、換気が弱くなってしまいます。

換気が弱いと言うことは、それだけ湿気が屋根裏などに溜まりやすいということです。
建物に使われる木材は湿気で劣化してしまうので、換気の弱さは気になるデメリットといえるでしょう。

北向きの傾斜にすると日照を得られない

メリットの部分で「太陽光発電を最大限活用できる」と紹介しましたが、これは片流れ屋根の傾斜が南を向いている場合に限ります。
もし、片流れ屋根が北向きの傾斜になっているのなら、むしろ日照をほとんど得ることができなくなるのです。

屋根には、日光を吸収して屋根裏の湿気を飛ばしたり、家の中を温めたりする役割もあります。
日照を得られなければ、この役割を十分果たすことができなくなるのです。

しかも、片流れ屋根が北向きの傾斜になっているということは、最も面積の広い外壁が南を向いてしまうことになります。
南面は特に紫外線の影響が大きいため、すぐに外壁塗装が劣化してしまう原因ともなってしまうのです。

さらに、温められた外壁と冷たい屋根の温度差は、結露を起こす原因ともなります。
結露はカビや木材の腐食の原因となるので、建物の劣化を早めてしまう原因ともなりえるのです。

北側にあるお宅の採光条件を満たした上で室内空間を最大限確保するため、片流れ屋根を北向きの傾斜で立てているお宅も少なくありません。

しかし、機能面でのデメリットが大きいので、北向きの傾斜の片流れ屋根は全くオススメできません。

平家に多い片流れ屋根

平家は階段がなく移動が楽なことや、ワンフロアで広く見せられることから人気になっています。

高齢になっても暮らしやすいため、将来を考えて平家の家に住みたいという方も増えてきています。

そんな平家の屋根には、片流れ屋根が用いられるケースが多くあります。

平家の屋根を片流れ屋根にすると、幹先のない方の壁面に高さが出るため、高い位置に窓を作れます。

高い位置から光を取り入れることで、家の中が明るくすることができるのが平家の屋根に選ばれる理由の一つです。

片流れ屋根が与える室内空間への影響

平家では、屋根裏空間を活かした間取りにするケースも多いのですが、その際に勾配が深ければ深いほど、室内に開放的な空間が広がり、室内空間への影響も大きくなります。

平家に片流れ屋根を採用することで片流れ屋根が与える室内空間への影響をみていきましょう。

風通しが良い

空気には暖まると上昇する性質があります。

低い位置の窓から高い位置の窓へ風が抜けていくため、片流れ屋根には傾斜が深くなるほど、その性質が活かされ、風の通り道を広げられるという特徴があります。

ただ、それだけでは片流れ屋根には小屋裏に水平に流れていく風を採り入れにくいという面があるため、小屋裏の換気状態が悪くなる恐れがあります。

小屋裏の換気が悪いと、内部結露が発生する確率が高くなり、最悪の場合には構造部が腐朽して耐震性が低下してしまいます。

そのため、小屋裏換気を効率よく行い、小屋裏の湿度の上昇を抑える対策が必要です。

日差しを採り込める

平家には日差しが入りにくい部屋が生まれてしまうという懸念がありますが、片流れ屋根にすると日差しが入りにくい部屋の高い位置に窓を設けられます。

高い位置からの日差しは一般的な高さの窓より日差しが入る時間が長くなり、日差しを遮られる確率を少なくできます。

外からの視線を遮る

窓には日差しや風を採り込む働きがありますが、同時に外からの視線が気になるという面もあります。

特に平家の場合は、周辺の環境によっては外からの視線が気になる家になってしまう可能性があります。

ただ、片流れ屋根の場合、傾斜が深くなるほど高い位置に窓を設けられます。

傾斜角度が浅い片流れ屋根には、トップライトを設けるという方法もあります。

どちらの窓も、視線を気にすることなく日差しを採り込めます。

ロフトを設けやすい

平家の問題点の一つとして、2階建てに比べると床面積が少ないということが挙げられますが、片流れ屋根の小屋裏にはロフトが設けやすいというメリットがあります。

ロフトを設けることで、ある程度の床面積を補え、傾斜が深くなるほどロフトの空間を縦に広げられます。

勾配天井を楽しむ

片流れ屋根は天井を設けずに勾配天井を楽しむ内装にすることができます。

無垢材の梁を見せるおしゃれな勾配天井は、近年注目度が高まっている人気の高い天井です。

片流れ屋根で雨漏りを抑えるための注意点

雨漏りが最大の懸念点である片流れ屋根ですが、全ての建物で雨漏りが発生しているわけではないですよね。
これはつまり、注意すべきことを守っていれば雨漏りのリスクは低減できるということを意味しています。

以下で紹介することに注意していれば、雨漏りを未然に防ぐことができるでしょう。

伝い水を防ぐ施工をする

片流れ屋根で発生する雨漏りの多くは、屋根の裏面を水が伝って建物内に浸入することにより発生しています。
と言うことは、伝い水が建物内に浸入しないように塞いでしまえば、雨漏りを防ぐことができるということです。

伝い水を防ぐためには、屋根の頂上部分を透湿ルーフィングで覆ってしまうといいでしょう
そもそも隙間を覆ってしまえば、水が伝って浸入することもなくなります。
透湿ルーフィングなら、湿気は通してくれるので湿気がこもる心配もありません。

それから、水きり板金をつけたり、破風板を立ち上げたりする方法も効果的です。

換気ができる構造を作る

雨漏りは、屋根そのものが劣化することによっても引き起こされます。
屋根の劣化は湿度が高いと進行するので、適切に換気ができることが雨漏りを防ぐ上でも重要と言えます。

とは言え、片流れ屋根の建物は、構造上どうしても換気が弱くなってしまいます。
そこで、送風ファンをつけるなどして、強制的に換気を良くする対策方法を取るといいでしょう。

屋根と外壁の接合面に注意

片流れ屋根自体は、接合面のない一枚屋根のため雨漏りに強いと言えます。
ただ、構造上屋根と外壁の接合部分に雨水が浸入しやすいことから、雨漏りが発生しやすくなってしまっているのです。

と言うことは、接合面さえ注意しておけば、ある程度雨漏りを防ぐことは可能となります。

外壁の塗装や屋根と外壁の接合部分などが劣化すると、雨漏りのリスクは高まります。
そのため、定期的に塗装や接合部分をチェックするようにしてください。
いち早く劣化に気づき、適切なメンテナンスを施すことこそ、雨漏りを防ぐ最大の秘訣と言えます。

水切り板金をつける

瓦屋根は破風板を立ち上げる以外にも、水切り板金を取り付けて雨漏り対策するのが効果的です。

「水切り板金」は屋根と外壁の取り合い部分に雨水が侵入しないようにする板のことです。

板金やのし瓦、南蛮漆喰、モルタルなどを用いて雨水が建物内部に侵入せず流れるようにするために取り付けられます。

一方、化粧スレートやアスファルトシングル、金属屋根材のけらば部は、経年での問題もあり、別途対策が必要です。

その一つとして、けらば水切りを改良した「シール材付きけらば水切り」が効果的です。

クッション性のある止水材として役割を果たすシール材が屋根材と密着して、土ほこりや雨水のオーバーフローを防ぎます。

日射取得不足による結露対策は、野地面通気+透湿ルーフィング

北面片流れ屋根の野地板結露・劣化防止には、野地面通気(屋根材と野地板の間の通気)と透湿ルーフィングが有効です。

これについては、工夫というよりは仕様変更の範囲となってしまいますが効果的なのでおすすめです。

また、南面片流れ屋根に太陽光パネルを設置する場合も、パネル下の屋根部分は一年中、日陰となります。

北面片流れ屋根と同じように劣化リスクがありますので、野地面通気+透湿ルーフィングがおすすめです。

しかし、太陽光パネルメーカーの指定で、透湿ルーフィングを使用できないことも多いので、その場合は片流れ屋根でなく、切妻屋根(北面が短い切妻)にされることをおすすめします。

換気不足による結露対策の工夫

換気不足については、小屋裏換気を多くする工夫をしましょう。

小屋裏換気量を多くするには、以下のような工夫があげられます。

・換気棟を多く設置する
・軒の出を持たせて、軒天換気を全周に設置する
・妻壁の妻換気と併用する

幹の出がある場合、軒天換気を設置するのでもいいのですが、より雨漏りリスクが低いのは、棟換気部材を設置することです。

この場合は、外壁通気層も棟換気部材から排気することになります。

軒の出がない場合、棟板金と外装材の間から換気をとることになりますが、防水と通気という相反する形を実現しないといけないので難しいです。

片流れ屋根のメンテナンスも株式会社エースへ

片流れ屋根の雨漏りを防ぐには、定期的なメンテナンスが不可欠となります。
弱点部分が劣化する前に対応すれば、片流れ屋根でも雨漏りの心配は一切ないのです。
そのためには、定期的に屋根や外壁の状態を診断し、劣化にいち早く気づく必要があります。

片流れ屋根で雨漏りを防ぐためにも、私たちの無料診断を活用してみませんか?
豊中市を中心に、府中市や大阪市、尼崎市でも活躍する株式会社エースなら、片流れ屋根の雨漏り修理も豊富な実績を持っています。
起こってしまった雨漏りの原因特定や修理はもちろん、劣化を察知して雨漏りを未然に防ぐことも得意としているのです。

地域密着で活動する私たちだからこそできる、ぬくもりのある対応で何でも相談に乗ります。
雨漏りの豊富な知識と確かな技術をご提供いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

長谷川 昭人

WRITER長谷川 昭人

代表取締役

平成10年に塗装職人をスタートさせ、個人事業主のときも含めると創業24年以上。今では、国家資格の一級塗装技能士の検定員として職人の検定や実技の指導をするほど、塗装に関する技術や知識を認められるようになる。 アステックペイントというオーストラリアでの遮熱塗料シェアNo1の日本法人からも「関西での実績No1だ」と言われるようになりました。 経営理念、「住まいを通じて『安心』『快適』『感動』を証明する」を元に、お客様と社員の喜びづくりを軸に活動中。

[更新日: 2023-11-8]

こちらの記事もおすすめ!

お問い合わせ
お問い合わせ
LINE友だち登録
LINE友だち登録
LINE 無料メール相談 0120-25-1030