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雨漏り修理は屋根の補修工事?葺き替え・カバー工事のタイミングは?

大型台風や豪雨の発生率が増える今日、竜巻や強風の影響で屋根に大きな被害を受け、雨漏りで困っている人もいらっしゃるかと思います。

大雨の後に、天井から雨漏りが止まったならばホッとしますが、屋根裏に侵入した雨水は、徐々に住宅をむしばんでしまいます。

また、強風による飛来物でできた屋根の損傷は、次第と傷口が広がっていき、次の大雨の時に大量に雨水が家の中に流れ込んでくるおそれがあります。

屋根素材の欠損・腐食が激しく、補修工事では対応できないまでになると、屋根を張り替える「葺き替え」工事が必要になります。
雨漏りがどこの家にも発生する可能性がある今日、雨漏り修理の知識は誰もが持たなければいけない重要な情報です。
今回は、「雨漏りの修理」と「屋根の葺き替え」について説明しましょう。

目次

屋根修理と葺き替え・カバー工法の違い

屋根の修理では、「補修工事」「葺き替え工事」「カバー工法」などの言葉を聞きますが、それぞれの修理の内容はご存知でしょうか。
まずは、修理方法の違いについて詳しく解説していきましょう。

屋根の葺き替えとは?

「屋根の葺き替え」とは、屋根の表面を部分的に補修するのではなく、屋根全体を新しいものに取り替えるリフォーム工事のことです。

屋根は、「垂木(たるき)」で骨組みを組んで、その上に「野地板(のじいた)」と呼ばれる合板の下地素材を貼って、屋根の土台が作られています。
その上に「ルーフィング」と呼ばれる防水シートを敷き、さらに瓦やスレートなどの「屋根材」が設置することで、住宅を雨水から二段階で守っています。

瓦などの屋根材やルーフィングが破損し、雨水が野地板や垂木に浸透して木材が腐食すると、雨漏りだけでなく、住宅の強度に影響が出てきます。
その場合は屋根の「葺き替え工事」で、屋根の下地素材から表面の屋根材までを、新しい建材に取り替えなければなりません。

一般的に葺き替え工事は、全面的な屋根のやり直しを言いますが、傷みの激しい片側の屋根だけ張り替える「一部葺き替え工事」もあります。

屋根の補修工事と葺き替え工事の大きな違いとは?

「屋根の補修工事」とは、傷んだ瓦や板金(ばんきん)を交換したり設置し直したりする修繕作業で、費用も比較的安くできます。
ずれた瓦を直したり、破損したものを取り替えたり、目地剤のコーキングをやり直したりして、初期的な雨漏りの原因を取り除きます。

屋根の修理では、瓦の差し替えなど、1枚からでも修理業者に依頼することができます。
この場合、費用は1万~5万円ほどです。
しかし実際には、「屋根を何度補修しても雨漏りが止まらない」というケースが非常に多いので注意してください。

一方、屋根の葺き替え工事は大掛かりなリフォーム工事で、足場、野地板の張り替え、屋根材の購入などで費用は高くなります。
葺き替え工事では、屋根を基礎からやり直すので費用はかかりますが、雨漏りの問題を根本的に解決できると言うメリットがあります。

屋根の重ね葺き(カバー工法)とは?

「屋根の重ね葺き」とは、既存の屋根を覆うように二重に重ねて屋根をのせるやり方で、「カバー工法」とも呼ばれています。

「葺き替え」では一時的に屋根を撤去するため、工事中の雨の心配があり、その間の日常生活にも不便があります。
一方、重ね葺き(カバー工法)では既存の屋根はそのままなので、仮住まいを探す必要もなく工期も短くて済みます。

また、古い屋根材を処分する必要がないため、廃材を出さず、古い屋根材の廃棄費用も発生しないのでリフォーム費用が安くなります。
さらに、屋根材にアスベストが含まれている場合は、産業廃棄物としての処理費用が高くなるため、カバー工法を選ぶ人もいます。

重ね葺き(カバー工法)のメリットは、雨漏りが解消されるほか、屋根が二重になるため遮音や遮熱の効果がアップすることです。
しかし、屋根が重たくなるため耐震性が落ちていまいます。
また、屋根や下地の野地板や垂木が腐食している場合は、重ね葺き工事が出来ないこともあります。

屋根リフォーム(葺き替え・重ね葺き工事)の費用対効果

屋根の葺き替えや重ね葺き工事は、部分的な補修に比べて費用は高いですが、雨漏りの問題を根本的に解消でき、住宅の寿命を延ばせます。
長い目で見れば、中途半端な補修工事よりも、屋根全体を葺き替えた方が自然災害に備えられて、家族の安全を確保できるでしょう。

瓦屋根は耐久性がありますが、重量があるため建物が老朽化してくると耐震性に不安がでてきます。
そこで、軽い屋根材に吹き替える工事もよく行われています。
また、近年は軽量なカバー建材が出てきているため、重ね葺きで屋根全体を覆い、雨水の侵入をシャットアウトする工事も人気です。

屋根材の種類と葺き替え時期の見極め方

屋根が修復できないほど劣化してくると、いつ葺き替え工事をするか、どのような屋根材に葺き替えるのかを決めなければなりません。

雨水は大雨や台風ごとに確実に屋根裏に侵入し、家の基礎部分を腐食していきます。
そのため、葺き替えのタイミングを逃すことは、家族の命の危険にもつながる重要な事柄です。

屋根の葺き替えタイミングと雨漏りの原因調査

葺き替えのタイミングを考える場合、日々の生活で屋根の劣化症状を早めにキャッチすることが大切です。
劣化の顕著な症状としては、以下のようなものがあります。

・天井に雨染みができたり、雨漏りしたりする

・雨が降ったあと、翌日でも湿気が残って部屋がジメジメしている

・壁にカビが生えていたり、家の中がカビくさかったりする

・風のある日に、屋根の方から変な音がする

このような症状があれば、すぐにでも屋根裏や屋根の上を点検することが必要です。

しかし、屋根に登っての調査は危険を伴うため、できる範囲で原因を調べて、詳しい調査は業者に依頼するようにしてください。

業者による雨漏り原因調査の費用は、目視によるものは一般的に無料ですが、散水などで本格的に調査してもらうには2~3万円の費用がかかります。
発光液で雨漏りの経路を調べたり、赤外線サーモグラフィーで屋根裏の状況を調査したりすると、10万円以上の調査費がかかることもあります。

とは言え、原因をしっかりと究明せずに雨漏り修理をしても、かなりの高確率で雨漏りが再発するため、費用がかかってもプロの診断を受けることがオススメです。

屋根材の葺き替え時期の見極め方

時期を逃さず屋根の修理をするには、屋根のどのような症状をチェックしたら良いでしょうか。
ここからは、屋根材ごとの劣化症状をみていきましょう。

瓦屋根の葺き替え工事

日本瓦は、屋根材の中では耐久性に優れ、50〜60年は持つ優秀な素材と言われています。
しかし、台風などの強風により屋根の上部にある棟瓦(むねかわら)が破損することが多く、定期的なメンテナンスは必須です。

瓦屋根は耐熱性や遮音性に優れていますが、瓦が重たいために、木造家屋が老朽化してくると、耐震性に不安が残ります。
瓦がズレやすくなった、ヒビや欠けが目立つ、苔が生えてきた、などの症状があれば、葺き替えを検討しましょう。

スレート屋根の葺き替え工事

スレート屋根は、一般に「化粧スレート」と呼ばれ、セメントに繊維を混ぜて成形した屋根材で、軽量・安価で耐久性にも優れています。
色の種類も多く仕上がりも美しいですが、寒暖差の激しい地域では塗装の劣化でスレートが反ることもあります。
瓦ほどの耐久性はなく、耐用年数は20〜30年と言われています。

表面の塗装塗膜が劣化して、塗料が粉になって浮いてくる「チョーキング現象」が出たら、屋根塗装が必要です。
スレートにソリやひび割れ、欠損が多く見られるようになったら、葺き替え時期と言えるでしょう。

ガルバリウム鋼板の屋根の葺き替え

ガルバリウム鋼板とは、薄い鋼板に、亜鉛・アルミニウム・シリコン樹脂でメッキした、錆に強くて耐久性のある軽量な金属素材です。

メーカー保証も20〜50年と長期になっていますが、メッキ表面に傷がつくと、そこから雨水が侵入して中の鋼板が錆びてしまいます。
そのため、長持ちさせるには定期的な屋根塗装が必要です。

鋼板の留め具が錆びてはがれやすくなってきた、欠損が目立つなどの症状があれば、葺き替え時期と言えます。

葺き替え屋根の素材の選び方

近年は建材の開発が進み、軽量で耐久性の長い屋根材が多く流通しています。
強風でもはぎ取られないようしっかりと固定できて、震災でも耐震性に負担のない、軽くて強い屋根材が望まれます。

新素材のハイブリッド屋根への葺き替え工事

ハイブリッド屋根とは、ガルバリウム鋼板に石粒を焼き付けた、軽量かつ災害に強い、新しく開発された屋根材です。
樹脂、繊維、セメントなどから作られたハイブリッドな素材で、代表的なものに、ケイミュー社のROOGA(ルーガ)などの製品があります。
軽量なので、地震の際に揺れが小さくなり、台風の強風にも強いのが特徴です。

耐用年数は瓦にも匹敵し、50年ほどと言われていますが、屋根には腐食しやすい板金が多く使われているため、定期的なメンテナンスは必要です。
費用はかかりますが、葺き替え時に高機能な新素材を検討してみるのも良いでしょう。

トタン屋根の葺き替え工事

トタン屋根は、鋼板を亜鉛だけでメッキをしたもので、耐用年数は10年ほどと短く、定期的な塗装は必須です。
経年劣化で全体的に赤みを帯びてくると、錆が発生している証拠なため葺き替えが必要と考えられます。

耐用年数が短いため、近年ではトタンが住宅の屋根に使われることはほとんどなくなっています。
台風などの強風で、古い建物のトタン屋根が吹き飛ばされ、近隣に被害を及ぼす危険性もあるため、葺き替えを検討することも重要課題です。

屋根の形状と葺き替え素材

写真:屋根

葺き替えの屋根材を決めるときに、家のスタイルや屋根の形状にあった屋根材を選ぶことも大切です。
屋根の形状には大きく、切妻屋根、寄棟屋根、片流れ屋根、陸屋根に分かれます。

それぞれの形状に適した屋根素材があるため、家全体の雰囲気にあったものを選びましょう。

切妻屋根(きりづまやね)

切妻屋根とは、一般的な三角形をした屋根で、建物の構造としては強度が高く、雨水を地上に排水しやすい屋根です。
形状がシンプルなため葺き替え作業がしやすく、業者も作業に慣れているので工期も短く、コストも安くなる傾向にあります。

切妻屋根は、瓦屋根やスレート屋根に向いています。

寄棟屋根(よせむねやね)

寄棟屋根は、切妻屋根の両端に面を加えた、4つの面からなる屋根です。
雨水が、四方にスムーズに流れる構造になっています。

四面で風を受けるため、耐風性にも優れており、外観もオシャレで洋風・和風のどちらの住宅にも使用されている屋根の形です。
一般的に、寄棟屋根の工事やメンテナンスの費用は、切妻屋根に比べると高くなります。

片流れ屋根(かたながれやね)

片流れ屋根は、片方だけに傾斜したシンプルな屋根で、太陽光パネルを設置するのに適した形状です。
大雨や大雪の際に、雨や雪が一方にだけ大量に流れてしまうこと、軒先のない外壁が、風雨や直射日光にさらされて老朽化しやすいという弱点があります。

片流れ屋根は、太陽光発電を取り入れたエコ住宅に多く見られ、スレート屋根が適しています。

陸屋根(りくやね)

陸屋根とは、平らな形状の屋上のような屋根です。
近年では屋上の有効利用が人気で、陸屋根の戸建住宅も増えてきました。

外観がモダンなデザインで、コンクリートの洋風住宅に取り入れられていますが、屋上の水はけが悪いと雨水が溜まり雨漏りしやすい住宅です。
軒(のき)がないため雨水が外壁をつたい、直射日光や風の影響を受けやすく、外壁塗装が劣化しやすいデメリットがあります。

陸屋根の場合は葺き替えではなく、ウレタン・アスファルト・FRPなどで防水加工したり、塩化ビニールシートを貼ったりして雨漏り修理をします。

屋根の葺き替え工事の費用相場

屋根の簡単な雨漏りの修理は、2万〜10万円程度でも実施できます。
しかし、屋根の葺き替えや重ね葺きは費用が高額です。

葺き替え工事の一例として、スレート屋根に葺き替えて、省エネのために太陽光パネルを設置するリフォーム工事では、総額450万円前後となります。

一般に、葺き替え工事の費用は、屋根の補強費用、屋根材と防水シートの費用、人件費、足場代、既存の屋根の廃棄費用などからなります。
使用する屋根材やルーフィングの種類、屋根の形状と面積、足場代、産業廃棄物の撤去の有無などで、工事の費用は大きく異なってきます。

複数のリフォーム会社から見積もりを取り、各項目の金額が妥当か、ネットの費用相場からかけ離れていないかなどをチェックして業者を選定しましょう。

葺き替え費用の判断の仕方

ネット上には、複数のリフォーム会社に一括して屋根修理の見積もり依頼ができるサービスを提供しているサイトがあります。

ただし、費用の安さだけで業者を選ぶと、葺き替え経験のないリフォーム会社が、手抜き工事をしたり、粗悪な建材が使われたりする危険性もあります。
そのため、見積もり内容が具体的に記載されていて、疑問点にも丁寧に回答してくれる業者を選ぶようにしてください。

特に自然災害が発生した直後には、悪質な飛び込み営業の業者が全国から集まってきます。
そのため、見積書が「工事一式」などとなっていたら、まず疑うようにしてください。

また、屋根のリフォームで特定の条件を満たしていれば、市区町村の補助金制度や、リフォーム減税を利用することが可能です。
特定の条件とは、居住目的のリフォームであること、過去に同様の補助金を受けていないことなどがあるため、詳細を市区町村に問い合わせてみましょう。
補助金申請の際には、被害の実情を明確に伝えられる、写真や書類が必要となってくるため、雨漏りの状況はできるだけ詳しく記録に残すようにしてください。

屋根の葺き替えを提案されたらまずはエースにご相談ください

雨漏りの修理には、屋根の細かな部分の補修工事と、屋根の葺き替え、屋根の重ね葺きなどの方法があります。
屋根は、素人判断で修理しても、結局また雨漏りになる確率が高く、できるだけ早い時点で、プロの雨漏り原因調査を受けるのがおすすめです。

また、雨漏り修理業者の中には、ろくに調査もせずに葺き替えを勧めるところもあるので注意してください。
これは、葺き替えは非常に高額な工事になるため、業者の儲けが大きいためです。
しかし、葺き替えの必要のない雨漏りなら、費用が無駄になってしまいます。

もし、業者に屋根の葺き替えを提案されたら、一度私たちエースにご相談ください。
雨漏りの専門家が調査を行い、本当に葺き替えが必要か判断いたします。
雨漏りを修理するために本当に必要な工事だけをご提案しますので、ご質問だけでも気軽にお問い合わせください。

長谷川 昭人

WRITER長谷川 昭人

代表取締役

平成10年に塗装職人をスタートさせ、個人事業主のときも含めると創業24年以上。今では、国家資格の一級塗装技能士の検定員として職人の検定や実技の指導をするほど、塗装に関する技術や知識を認められるようになる。 アステックペイントというオーストラリアでの遮熱塗料シェアNo1の日本法人からも「関西での実績No1だ」と言われるようになりました。 経営理念、「住まいを通じて『安心』『快適』『感動』を証明する」を元に、お客様と社員の喜びづくりを軸に活動中。

[更新日: 2023-11-8]

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