red-img

カバー工法による雨漏り修理のポイントとは?適した屋根材も紹介

雨漏りが見つかって原因が屋根だとわかった場合に、どんな修理方法の選択肢があるのでしょうか。

些細な雨漏りであれば、コーキングなどで対応できる場合もあるでしょう。
また、ちょっとした剥がれやめくれであれば、部分的な屋根の補修で済むかもしれません。

しかし、補修で済まない全体に及ぶ劣化によって雨漏りが起こっている場合には、屋根の葺き替えを検討しなくてはなりません。
雨漏りが見つかった場合に、それなりの年数が経っている建物であれば、屋根全体を葺き替えて、建物の寿命を延ばすのが賢い選択です。

葺き替えとなると、かなり大がかりな工事となってしまいます。
そのため、葺き替えの代わりに、手軽なカバー工法(重ね張り)が選択されることが多いです。
ここでは、カバー工法について詳しくみていきます。

目次

カバー工法とは

カバー工法とは、現状の屋根の上から、そのまま新しい屋根を重ねて葺いていく施工方法です。
近年の新築戸建ては、スレート屋根が使われていることが多いですが、スレート屋根の耐用年数は2030年と言われています。
この耐用年数を超えてくると、屋根そのものをリフォームする必要が出てくるのです。

屋根を取り換える方法は、現状の屋根を撤去して新たな屋根にのせかえる「葺き替え」という工事が基本ですが、費用が高額になります。
そこで、費用を抑えるため古い屋根を残したまま、新しい屋根を重ねる施工方法が開発されました。
これがカバー工法です。

カバー工法により、古い屋根の撤去や処分の手間がかからず安価に施工することができます。
重ね葺きする新しい屋根には、軽量な金属屋根が採用されることが多く、最近ではカバー工法専用の金属屋根材も開発されています。
ただし、現状の屋根の素材や不具合の状態によって、カバー工法が適さない場合があるため注意が必要です。

カバー工法の工事では、まず棟板金を取り外し、屋根を平らな状態にします。
そこへ、新しい防水シートを全面に敷きます。
その上に新しい屋根材をのせて、棟板金を取り付けます。
野地板が劣化している場合には、野地板増し張りといって、古い屋根に野地板を敷いてから、防水シートと屋根材を乗せて仕上げる方法もあります。

カバー工法のメリット

工事費用を抑えることができる

カバー工法では、古い屋根の撤去や廃材処分の費用がかからないため、葺き替えと比較すると施工費用を抑えることができます。
平均的な30坪程度の建物の場合、葺き替えでは150~200万円が相場となりますが、カバー工法では90~190万円が相場となります。

また、屋根材が有害物質であるアスベストを含有している場合、葺き替え工事をするには専門の知識をもって慎重に対処する必要があるため、撤去費用がさらに高額になります。
カバー工法では屋根材の撤去をせずに済むため、アスベストの飛散を防ぐことができ費用を抑えられます。

工事期間を短くすることができる

カバー工法では撤去や処分の作業をカットできる分、施工期間が短くて済みます。
また、洗浄などの前工程が不要で、すぐに施工を始めることができます。
葺き替えの場合14~30日程度かかるところを、カバー工法では5~14日程度で作業できます。

工事中の雨漏りの心配がない

既存の屋根を残したまま施工ができるため、工事の途中で雨漏りする可能性が低くなります。

工事中の騒音やほこりのトラブルが少ない

屋根の葺き替え工事の場合、工事中の騒音やほこりによって、ご近所へ迷惑をかけてしまいます。
場合によっては、トラブルになってしまうこともあるかもしれません。

カバー工法では騒音やほこりを減らすことができ、工期も短いため影響を少なくすることができます。

遮音、遮熱効果が高まる

屋根が二重になることにより、音や熱が伝わりにくくなります。

屋根材のベースとなっている野地板は、湿気による結露に弱いです。
結露によって、カビが生えてしまうこともあります。
屋根が二重になると、遮熱効果により野地板への温度変化が少なくなるため、結露が起きにくくなり、野地板を長持ちさせることができます。

カバー工法のデメリット

下地の劣化が激しい場合は施工できない

屋根材の下には、野地板と呼ばれる屋根のベースとなる板があり、防水シートが貼られています。
もし、野地板や防水シートを補修する場合には、屋根を撤去しなくてはなりません。
そうなると、屋根の葺き替えを選択する方がよいでしょう。

特に屋根から雨漏りをしている場合には、下地にも何らかの損傷がある可能性が高いです。
そのため、適切な施工方法を判断できる業者に依頼しましょう。

屋根が重くなる

古い屋根の上に新しい屋根を重ねるため、どうしても重くなります。
カバー工法を選択する場合、屋根の重さに耐えられる建物の強度があることが必要です。

軽量な金属屋根でカバーした場合、一般的には耐震性能が劣るほどの影響はないとされていますが、建築時に想定されていた重量よりは重くなります。
さらに野地板を増し張りする場合には、かなり重量が増すことになるので注意が必要です。

将来の屋根修理への影響がでる

カバー工法で補修した屋根の耐用年数は、約20~30年です。
建物の寿命が長く、将来もう一度屋根の葺き替えをするとなった場合には、二度目はカバー工法が選択できません。

カバー工法を行った屋根が、自然災害や施工不良等で思わぬ大きな損傷を受けてしまうこともあります。
このような場合にも、カバー工法を一度行った屋根に再度カバー工法での修繕はできないため、葺き替えしか選択肢がありません。

また、カバー工法では古い屋根の撤去、処分費用が削減できますが、将来的に屋根を撤去することになった場合には、屋根二つ分の撤去・処分費用がかかるため、費用の先送りをしているだけとも言えます。
廃棄費用は年々高騰しており、特にアスベストを含有している屋根材の廃棄費用は高額になっています。
目先の費用だけでなく、将来も含めたコストを考えた上で検討するとよいでしょう。

火災保険の適用ができない

雨漏りの原因が自然災害だった場合には、火災保険の適用が受けられることがあります。
ただし、火災保険の利用は原則として「現状復帰」ですので、カバー工法で修繕する場合には保険が適用できないケースがあります。
火災保険の適用を検討している場合には、保険会社によく確認をしましょう。

どんな場合にカバー工法が適しているか?

カバー工法を選択する場合、下地が傷んでいないことが前提条件です。
万が一下地が傷んでいるままカバー工法で施工してしまうと、屋根の固定が不十分になったり、内部の腐食が悪化してしまったりと、重大な不具合に発展してしまう可能性があります。
そうなると、せっかく屋根工事をしたのに、また数年で屋根を取り替えなくてはならなくなるおそれがあります。

特に野地板の傷みに関しては、慎重かつ丁寧に確認する必要があるでしょう。
スレート屋根で築40年以上経っているなど、屋根の一般的な耐用年数を過ぎている場合には葺き替えの方が適しているケースが多いです。

業者としては、カバー工法は葺き替えと比べて費用が安く受注しやすいことから、積極的に勧めてくる場合があります。
しかし、本来は屋根の修理は葺き替えがベストです
なぜなら、確実に綺麗な状態の屋根にすることができ、建物の寿命を延ばすことができるからです。
もし予算に余裕があれば、葺き替えを検討してみてもよいでしょう。

また、既存の屋根材の種類によって、カバー工法ができない屋根材があります。
たとえば、瓦屋根の場合にはカバー工法は不向きで、葺き替えの方が効率的と判断されることが多いです。
軽量な屋根材に葺き替えることで、耐震性を高めることも可能となります。

カバー工法で使用する屋根材

写真:屋根

カバー工法では、軽くて耐久性の高い金属屋根を使用する場合がほとんどです。
金属屋根には縦葺きと横葺きがあり、素材はガルバリウム鋼板が主流ですが、耐食性の高いSGL鋼板などもあります。
他にも、アスファルトシングルなどを使用できます。

縦葺きガルバリウム鋼板

地面に対して、垂直方向に張る金属屋根です。
いわゆるトタン屋根の形状ですが、現在ではトタンではなくガルバリウム鋼板が主に使われています。
垂直方向に筋が入っているため、排水性能が高いメリットがありますが、複雑な屋根の形状には対応できません。

横葺きガルバリウム鋼板

地面に対して、水平方向に張る金属屋根です。
複雑な屋根の形状でも対応できるため、現在の戸建ての金属屋根のほとんどは横葺きとなっています。
ただし、縦葺きに比べ排水性能が低いため、勾配が緩い屋根には使用できません。

戸建ての主流の金属屋根のため、断熱材一体型の商品もあります。
また、加工が容易なためデザインが多様なものがあり、一見して金属性とわからないようなデザイン性の高い素材もあります。
現場で成型加工する縦葺きと異なり、規格が統一されており製造工場で大量生産されます。

アスファルトシングル

アスファルトシングルは、防水紙と屋根材が一体化した屋根材で、防水紙の上に石粒が吹き付けられています。アメリカで多く使われている屋根材です。

とても軽量なことが特徴で、スレート材の約半分の重さです。
吹き付けられた石粒は褪色しづらく、吸音効果があります。

デメリットとしては、日本でのシェアが少なく、施工経験の豊富な業者が少ないことが挙げられます。
日本の気候で使用した場合の実績が少ないことは、不安な要素といえるでしょう。

樹脂混入セメント瓦

樹脂混入セメント瓦は、ハイブリット瓦とも呼ばれます。
見た目には瓦に似ていますが、重さが瓦の半分以下です。
素材が硬くて軽量なため、カバー工法の屋根材として使用できます。

樹脂混入セメント瓦を使えば、重厚感と趣のある瓦屋根を演出できます。
また、長寿命であることも魅力の一つでしょう。

カバー工法に適した施工業者

カバー工法では、屋根材として金属屋根が使われることがほとんどです。
金属屋根の施工は、一般的には板金業者が扱います。
塗装業者では施工が容易なスレート屋根の工事は扱うことがありますが、金属屋根の施工は板金業者に下請けに出すことがほとんどです。

屋根の工事を外壁塗装などと組み合わせて塗装業者に依頼する場合、足場代が一度で済むので経済的、工期を短くできる、業者とのやりとりが一度で済むというメリットがあります。
そのため、塗装の際に屋根の状態まで相談してみるといいかと思います。

カバー工法を検討する場合、適用できる状態かどうかの判断が不可欠です。
万が一施工不良が発生してしまうと、屋根の寿命を縮めることになり、雨漏りが発生して建物へ悪影響が及んでしまうことになりかねません。
そのため、まずは屋根の状態を的確に判断できる業者を選ぶことが重要でしょう。
工事後の保証がついていると、より安心ですね。

カバー工法の費用の目安

カバー工法の工事にかかる費用は、足場代を含めて、8,000~16,000円/1㎡が目安になります。
費用には、新しい屋根の施工、ケラバ・軒・雪止め金具取り付け・棟板金の施工、防水シート、工事管理費・諸経費が含まれます。

費用のうち、屋根材の占める割合が大きいため、屋根材によって費用が大きく変わります
例えば、ガルバリウム鋼板よりステンレスの方が、1.5倍以上単価が高くなります。
業者によっても違いがありますので、いくつかの業者で見積もりを依頼して比較するようにしてください。

屋根の修理の事ならエースにお任せください!

屋根の劣化で雨漏りが起きてしまった場合には、屋根の葺き替えが必要になることもあるでしょう。
大きな出費となりますが、屋根も経年劣化するため、いずれは葺き替えをしなくてはなりません。
そこで、大がかりな葺き替えの代わりに、カバー工法によって安価に屋根の修理をすることも一つの手といえるでしょう。

ただし、カバー工法を選択するにはいくつかの条件を満たさなければなりません。
屋根は建物を守る重要な役割を果たすものなので、修理を検討する際には、コストだけでなく、信頼できる業者を探せるかどうかがポイントになります。

もし、雨漏りや屋根の劣化が気になるようなら、私達エースが力になります。
雨漏りなど急な対応でも、資格を持ったスタッフが状況を的確に診断し、最適な修理方法をご提案いたします。
もちろん、見積もりやご相談は無料にて対応いたしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

長谷川 昭人

WRITER長谷川 昭人

代表取締役

平成10年に塗装職人をスタートさせ、個人事業主のときも含めると創業24年以上。今では、国家資格の一級塗装技能士の検定員として職人の検定や実技の指導をするほど、塗装に関する技術や知識を認められるようになる。 アステックペイントというオーストラリアでの遮熱塗料シェアNo1の日本法人からも「関西での実績No1だ」と言われるようになりました。 経営理念、「住まいを通じて『安心』『快適』『感動』を証明する」を元に、お客様と社員の喜びづくりを軸に活動中。

[更新日: 2023-11-8]

こちらの記事もおすすめ!

お問い合わせ
お問い合わせ
LINE友だち登録
LINE友だち登録
LINE 無料メール相談 0120-25-1030